みならいです!
今回は、ビール講座の7回目ということで、みんなが大好き“IPA”について解説していきたいと思います!(お待たせしました〜。)
概要の部分については、これまでも何度か紹介していますが、今回は改めて概要に加えて、色々なIPAの種類も紹介していきたい思いますので、参考になれば嬉しいです。
今までの講座と比べると、今回は少し長くなります。
是非最後までご覧くださ〜い!
そもそもIPAとは?
IPA(アイピーエー)は「India Pale Ale(インディア・ペールエール)」の略称で、100以上あるビアスタイルの一つを指します。(上面発酵のエールビールです。)
起源は、18世紀末〜19世紀はじめ頃とされていて、ロンドンから、当時イギリスの植民地だったインドまでビールを輸送する際、輸送中にビールが悪くならないよう、アルコール度数を高くして、防腐作用の働きがあるホップを大量に入れたのが始まりとされています。
当時は船に乗っていた船員たちにも大好評だったようです!
イギリスでかなりの人気があったIPAですが、その後、産業としては徐々に衰退・低迷。
その後、時が流れて1970年代のアメリカ。
クラフトビール作りが盛んになり始めた頃、カルフォルニア州のブルワリーが、ホップの新品種の開発とあわせて、苦味があるのにスッキリ、柑橘の香りが際立つビール(ホップを大量投入するスタイル)を開発したのが、いま僕たちが飲んでいるIPAの先駆けとされてます。
(このような背景から、度数が他のビールよりも比較的高く、ホップの香りが強い・苦い味わいがIPAの基本的な特徴になります。)
ヨーロッパのクラシックなビアスタイルを王道と捉え、IPAは邪道だ!と感じる方もいらっしゃるようですが、やはりIPAの衝撃的な香りと柑橘の香りにみんな虜になってしまいますよね。笑
IPAでよく記載される表現
そんなIPAですが、よく記載される表現として、次のものがありますので、簡単に解説したいと思います。
・DDH IPA:ダブルドライホップIPA
・TDH IPA:トリプルドライホップIPA
・DIPA:ダブルIPA
・TIPA:トリプルIPA
はじめに、ドライホップについてですが、
【ドライホップ(ドライホッピング)とは?】
ビールを作る工程の中で、煮沸の初期段階で投入されるホップは、ビタリングと言って、苦み付けを目的に行い、煮沸の最終段階で投入されるホップは、レイトホッピングと言って、香りづけを目的に行うもの。
ドライホッピングは、このどちらでも無く、ある程度ビールの発酵が終わり、ほぼ完成に近づいたビールに直接ホップを投入すると言うテクニックのこと。これによって、フレッシュなホップの香りがビールに付く。
これがドライホップになります。
これを踏まえると、ダブルドライホップIPAは、ドライホップの作業を2回にわたって行われたIPAを、トリプルドライホップIPAは、3回のドライホッピングが行われたIPAをさしている、ということになります。
要するに、ホップの香りをマシマシにするために、ガンガン大量のホップを投入しているIPAということですね。(比較的高価なビールになるのも納得です。)
続いて、ダブルIPA(インペリアルIPA)・トリプルIPAについてですが、こちらは一言でいうとIPAの強化版という位置付けになります。
両者に明確な定義・違いはありませんが、一般的には、
・ダブルIPA(インペリアルIPA):度数が7〜8%
・トリプルIPA:度数が9〜12%
という設計になっていて、どちらもアルコール度数が高くて、モルトのボディ感が強いIPAとなっています。
ダブルIPA(インペリアルIPA)の例↓↓↓
(木樽で熟成させてつくるバレルエイジドビールのインペリアルIPAという希少な例も!)
トリプルIPAの例↓↓↓
そうなると、TDH TIPA(トリプルドライホップ トリプルIPA)が最強のホップマシマシIPA!?となりますが、実は以前にそんなTDH TIPAを紹介したこともありますので、参考までに貼っておきます↓↓↓
様々なIPAの種類を紹介
ここまでは、IPAの概要的なところに触れさせていただきました。
ここからは、具体的にIPAには、どんな種類が存在しているのか、実例とあわせて紹介していきたいと思います!
(これが全てではありませんので、あくまで例としてご覧ください。)
イングリッシュIPAとは
イングリッシュIPAは、イギリス産のホップを使用したIPA。
イギリス産のホップに由来するハーブのような香り、味わい深い苦味、トーストのようなモルト感が特徴。
セッションIPAとは
セッションIPAは、通常のIPAよりも度数が低くて、比較的飲みやすい(ドリンカブル)なスタイル。
“セッション”とは、度数が低いことを意味しています。
セッションIPAの例↓↓↓
ヘイジーIPAとは
ヘイジーIPAは、アメリカ北東部のニューイングランド地域で生まれたスタイルで、別名はニューイングランドIPA。黄色などの濁りがあります。
“ヘイジー”とは、濁っていること(濁り)を意味しています。
ヘイジーIPAの例↓↓↓
ヘイジーセッションIPAとは
ヘイジーセッションIPAは、アルコール度数が比較的低い、ヘイジーIPA!
ヘイジーセッションIPAの例↓↓↓
ウエストコーストIPAとは
ウエストコーストIPAは、別名アメリカンIPA。
その名のとおり、アメリカ西海岸発祥のスタイルで、北米産のホップを使用。
イングリッシュIPAと比較すると、ホップの苦味とアロマが強いのが特徴。
現在、世界的なスタンダードとなっているIPA。
ウエストコーストIPAの例↓↓↓
ノースウエストIPAとは
ノースウエストIPAは、アメリカ北西部を中心に醸造されているIPA。
ノースウエストエリア産のホップを使用。
ウエストコーストIPAと同じくホップのキャラクターを活かしながらも、ウエストコーストスタイルと比較するとモルトのボディがしっかりしてて、モルティな味わい。
全体的にホップとモルトのバランスの取れたスタイル。
レッドライIPAとは
レッドライIPAは、ライ麦を使用したスパイシーな味わいと香ばしさ、レッドエールのコク、カリフォルニアスタイルのホップアロマの苦味のアクセントが特徴。
レッドライIPAの例↓↓↓
その他、同じくライ麦が使用されたヘイジースタイルの、ライヘイジーIPAもあります!
ライヘイジーIPAの例↓↓↓
ライスIPAとは
ライスIPAは、その名のとおり、モルトやホップのほか、ライス(米)が使用されているIPA!
ライスIPAの例↓↓↓
ブラックIPAとは
ブラックIPAは、ローストモルトなどが使用されたIPAの派生スタイル。
黒ビールのロースト香とIPAの苦味が合わさっているフレーバーが特徴。
ブラックIPAの例↓↓↓
ホワイトIPAとは
ホワイトIPAは、ビアスタイル ベルジャンホワイトをベースにして作られたIPA。
ウィートモルト由来の甘さ、ホップ由来のフルーティーなテイストが特徴。
苦味は比較的少なく、ボディは軽め。
ホワイトIPAの例↓↓↓
その他、同じく小麦麦芽が使用されているIPAとして、ウィートIPAもあります!
ウィートIPAの例↓↓↓
ベルジャンIPAとは
ベルジャンIPAは、アメリカ発祥のスタイルで、ベルギー酵母が使用されたIPA。
ベルギー酵母由来の甘くフルーティーな香りと、IPAの強い苦味を持っているのが特徴。
ベルジャンIPAの例↓↓↓
COLD(コールド)IPAとは
COLD IPAは、純粋なホップの香りと味わいを引き立たせるために、ラガー酵母(あるいはケルシュ酵母)と米・トウモロコシなどの副原料を使用しながら、全体的にスッキリさせたIPAのような雰囲気のスタイル。
(ちなみに、コールドIPAの“コールド”は、ラガー酵母がエール酵母より低い温度で発酵するため、それに由来した表現になっているものです。)
IPL(インディアペールラガー)と似ているものの、IPLはラガー酵母を使ってIPAを目指して作るビール。
一方で、COLD IPAは、ラガー酵母を使ってとにかくホップを引き立たせようとしているビールで、最終的にはIPAっぽくなるものの、別にIPAを目指して作っていないという、ビールを作る上での方向性の部分が違ってます。
※純粋なIPAでは無い(ラガー)ですが、最近のトピックとして紹介しました!
COLD IPAの例↓↓↓
サワーIPAとは
サワーIPAは、発酵にビール酵母以外の野生酵母や、乳酸菌などを併用して酸味が生まれるサワーエールと、IPAの融合スタイル!(酸っぱい味わいです!)
サワーIPAの例↓↓↓
その他、同じサワーエールでも、沖縄の柑橘がたっぷり使用されたトロピカルレッドサワーIPAという例もあります!
トロピカルレッドサワーIPAの例↓↓↓
オーツクリームヘイジーIPAとは
オーツクリームヘイジーIPAは、大量に投入されたホップと、オーツ麦に由来するヘイジーカラー、トロっとした柔和でシルキーな雰囲気、トロピカルなアロマ・フレーバーが特徴。
オーツクリームヘイジーIPAの特徴↓↓↓
ジューシーIPAとは
ジューシーIPAは、米国Brewers Associationによるビアスタイル・ガイドラインで「Juicy or Hazy India Pale Ale」と定義されているスタイル。ホップのジューシーなフレーバーを引き出すことにフォーカス、濁りのある見た目が特徴。
ジューシーIPAの例↓↓↓
ニュージーランドIPAとは
ニュージーランドIPAは、ニュージーランド産のホップが中心に使用された柑橘香がたっぷりしながらも、モルトのベースがしっかりしているIPA!
ニュージーランドIPAの例↓↓↓
オーストラリアンIPAとは
オーストラリアンIPAは、オーストラリアンエール酵母が使用され、オーストラリア産のホップが使用されたIPA!
オーストラリアンIPAの例↓↓↓
このほかにも、CBDが使用されたCBDIPAや、フルーツIPA、ミルクシェイクIPAなどなど、
一言でIPAといっても、まだまだたくさんのIPAがあって、各々考え方が違うスタイルになってます。
今回はこの辺で終わりにしたいと思いますが、みならいのブログでは、これからもまだまだ色々なIPAを紹介していきたいと思いますので、今後とも参考にしていただけたら嬉しいです!
ということで、第7話IPAの会はここまで!
また次回、お会いしましょう〜!