こんにちは。お酒をこよなく愛するバーテンダー見習いです。
本日は、近年世界的に注目を浴びているウイスキーの基礎知識を中心に書いていこうと思います!少し長くなるかもしれないですが、頑張ります!
そもそもウイスキーとは?
はじめにウイスキーとはどんなお酒なのかについて書きたいと思います。そもそもお酒を大きく分類すると醸造酒(ワイン、ビール、日本酒など)、蒸留酒(ウイスキー、ウオッカ、ジンなど)、混成酒(リキュール、梅酒など)の3つに分けられますが、その中でウイスキーは蒸留酒に該当します。
ウイスキーは世界の様々な国で作られていますが、各国のウイスキーの定義に関する共通定義(認識)は、「穀物を原料とした蒸留酒で、樽で熟成させたもの」となってますね。要は、これがウイスキーと呼ばれるお酒ということです。
ちなみに、有名な樽熟成の蒸留酒として、”ブランデー”が挙げられますが、ブランデーは原料が「葡萄(ブドウ)」であるので、ウイスキーでは無いです。たまにブランデーもウイスキーの一種だと思っている方もいますが、そこは違うので注意です!
ウイスキーの五大生産地とは?
次にウイスキーの生産地についてです。よくウイスキー五大生産地なんて言ったりしますが、一般的には、高品質なウイスキーが世界の五ヶ国から生み出されているとされています。
五ヶ国をウイスキーの歴史的に古いものから書くと、アイルランド(アイリッシュウイスキー)、スコットランド(スコッチウイスキー)、アメリカ(アメリカンウイスキー)、カナダ(カナディアンウイスキー)、日本(ジャパニーズウイスキー)の順になります。
ちなみに私はどのウイスキーも大好きですね。歴史も個性も全然違いますし、大体はその時の気分で飲み分けています。
と言うことで、ここからは、この五大生産地から誕生するウイスキーについて少し掘り下げて書いていきたいと思います!
アイリッシュウイスキーについて
アイリッシュウイスキーは、北アイルランドとアイルランド共和国の中でつくられるウイスキーを指します。その昔、数百の蒸留所がありましたが、アイルランドの独立運動などの影響もあり、現在はたった4つの蒸留所でしかつくられていません。飲みやすさという点で、最近すごく注目を集めており、かく言う私も大ファンです。
先ほども書きましたが、歴史的には最も古いウイスキーです。
伝統の3回蒸留
アイリッシュウイスキーの特徴といえば、何と言ってもこの伝統製法です。なぜ3回蒸留をすることになったか?
それは、当時ウイスキーの原料となる大麦麦芽が他国と比較して、課税が厳しく、それ以外の原料を使用することになったため、オイリーな匂いを避けるために複数回の蒸留を行いながら、アルコール度数とともに調整していく必要があったためです。こんな背景から、結果として3回蒸留という手法が誕生したんですね。すごい!
スコッチウイスキーについて
スコッチウイスキーは、イギリス北部のスコットランドでつくられるウイスキーのことで、原料や製法などの違いから、モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーの3種類に分けられます。
まずはこれが基本になります。
その中で、シングルモルト・スコッチとは、一つの蒸留所でつくられ、モルトウイスキーのみを瓶詰したものをいいます。この辺は、皆さん知ってるようで意外と知らなかったりします。
対して、ブレンデッドウイスキーとは、通常30から40種類のモルトウイスキーと、3,4種類のグレーンウイスキーをブレンドしてつくられたものをいいます。ちなみに、最近はシングルモルトが流行っていたりしますが、スコッチウイスキーの約8割以上を占めるのが、このブレンデッドになります。
現在、モルトの蒸留所の数は、約130ヶ所と言われており、スコットランドの生産地区分としては、一般的にスペイサイド、ハイランド、アイラ島、キャンベルタウン、ローランド、アイランズの6地区に分けられることになります。
日本には10の蒸留所も無いので、いかにスコットランドで様々なウイスキーがつくられているかが分かります。スコットランドは、面積が北海道とほぼ同じなので、おそらく車で少し走ると何個も蒸留所があるような環境なんでしょうね。なかなか想像できませんね。
スコッチの誕生
スコッチがイギリスの文献に登場したのは1494年と言われています。その中で、アイルランドにウイスキーづくりが伝わったのが、8世紀から12世紀頃までとされており、当時は樽熟成という手法は知られていなかったようです。この頃は、蒸留したての原酒を飲んでいたみたいですね。もちろん熟成はしていないので、当然色は透明ですし、度数もかなり強いものです。すごいですよね。
その後、1707年のイングランド併合や何度も行われた課税の影響で、スコットランド人はイングランド政府に税を納めるのを嫌い、山奥に隠れてウイスキーの蒸留を開始。(密造酒時代)。この時に、たまたま樽に隠し入れていた蒸留酒が、時間とともに色や味が変化し、芳醇な香りをまとったウイスキーになることを発見したことが、現在のスコッチウイスキーのはじまりと言われています。
1823年には、止まらない酒の密造に手を焼いた政府が、酒税法を改正し緩和策を採用。これを受けて、翌年1824年にザ・グレンリベット蒸留所が政府公認第一号蒸留所として生産開始されるにいたっています。
当時は樽を簡単に入手できたので、とりあえず樽にお酒を隠して置いたら、なんかすごい美味しいやつが出来た!色も変わった!みたいな感じだったんでしょうね。
スコッチウイスキーの熟成樽
スコッチウイスキーの熟成に使用する樽は、基本的にオーク材(ナラ材)ですが、ウイスキー以外のものを詰めていた樽を使用するというのが一つポイントです。例としては、シェリー(酒精強化ワイン)を詰めていたシェリー樽やバーボン樽、プレーン樽などが挙げられます。
現在に至るまでなぜそういった樽を使用しているのか?
それは当時ウイスキーの需要が増え続け“使用する樽が足りなくなったから”です。
そもそもは、当時イギリスに大量に輸入されていたシェリー酒の樽が多く余っており、それを使用したというのがはじまりみたいです。その後、スコッチの大量生産期には本格的に樽が足りなくなってしまい、バーボン樽などの使用を開始したようです。ちなみに現在は、シェリー樽が希少なので、バーボン樽が主流になっています。
スコッチの聖地
スコッチの聖地といえばやはりアイラ島だと思います。アイラ島は島の1/4が、※ピート層に覆われていて、独自の風味をつけることのできるピートが大量に生産できる環境にあるからです。※ ピート:シダやコケ類などが堆積してできた泥炭のこと
有名な蒸留所はいずれも海辺に立地していて、そこから生み出されるスコッチは、潮の香りが強くかつとてもスモーキーで特徴あるものになっています。有名な蒸留所は、ブナハーブン、カリラ、アードベック、ラガヴーリン、ラフロイグ、ボウモア、ブルイックラディ、キルホーマントなどが挙げられますね。
この中で特に日本でファンが多いのが“ボウモア”ではないでしょうか。感覚的にそう思ってます(笑)私も大好きなシングルモルトなので、また別の機会に紹介したいと思います。
アメリカンウイスキーについて
アメリカンウイスキーは、アメリカでつくられるウイスキーの総称をいいます。主な種類は、ストレートバーボンやストレートライ、コーンなどがありますが、一般的にはアメリカンウイスキー=バーボンウイスキーと覚えた方が分かりやすいと思います。
先ほどまでは、アイリッシュやスコッチと言ったヨーロッパのウイスキーを書いてきましたが、アメリカのバーボンは何が違うのかと言うと、一言で言えば原料が違います。
ヨーロッパのウイスキーは大麦麦芽などを使用するのに対して、バーボンはトウモロコシを使用します。アメリカはトウモロコシの大生産地ですもんね。
アメリカンウイスキー全体の定義は、「穀物を原料にアルコール度数95%以下で蒸留し、アルコール度数40以上でボトリングしたもの」で、
バーボンの定義はと言うと、「原料となる穀物の51%以上がトウモロコシで、アルコール分80%未満で蒸留し、内側を焦がした新しいホワイトオークを使用し、2年以上熟成させたもの」となっています。
スコッチとは逆に、新しい樽を使用すると言うのが特徴ですね!
バーボンウイスキーとテネシーウイスキー
私は以前、バーボンとテネシーの違いについて激論を繰り広げたことがあり、どうしても書きたいので書きます!
基本的にバーボンウイスキーは、アメリカ東部に位置するケンタッキー州でつくられています。主要な蒸留所を挙げると、ジム・ビーム、メーカーズマーク、ワイルドターキー、フォアローゼスなどですかね。
一方、テネシーウイスキーは、ケンタッキー州のすぐ南のテネシー州でつくられているウイスキーです。ここには、誰でも聞いたことがあるくらい有名なジャック・ダニエル蒸留所があります。
テネシーウイスキー(ジャック・ダニエル)は基本的にバーボンウイスキーと作り方は同じですが、テネシーは、蒸留直後のスピリッツをチャコールメローイング製法といって、サトウカエデの炭の層をくぐらせてから濾過して樽に詰める工程があります。だからバーボンとは味が全然変わってくるんです!
要は何が言いたいかというと、バーボンとテネシーウイスキーは別物!ということです。
過去に友人はテネシーウイスキーの存在も知らずに、これはれっきとしたバーボンだと主張してきたので、思わず激論してしまいました。
有名なお酒だから余計に伝えたいです。ジャック・ダニエルはバーボンではなく、テネシーウイスキーです!笑
カナディアンウイスキーについて
カナディアンウイスキーは、世界五大ウイスキーの中でも最も味わいが軽やかでカクテルにもよく合うウイスキーです。主要な製法スタイルは、トウモロコシ主体のベースウイスキーとライ麦主体のフレイバリングウイスキーをブレンドしながら加水してつくるといったもので、ベース、フレイバリングとも3年以上の熟成期間を設けたウイスキーを使用するという特徴があります。
現在稼働している蒸留所は7箇所程度と少ないですが、需要の多いウイスキーをつくり続けており、有名なブランドではカナディアン・クラブやクラウン・ロイヤルがありますね!
特にクラウン・ロイヤルは口当たりがよく、本当にオススメしたい美味しいウイスキーです!また、別の機会に紹介したいと思います。
ジャパニーズウイスキーについて
ジャパニーズウイスキーは、歴史的にはこれまで書いてきたウイスキーよりも浅いですが、現在世界的にかなり注目されているウイスキーです。これは間違いないです!
ウイスキーのタイプは、モルトとブレンデッドが主流なので、スコッチに似たウイスキーだと考えて良いと思います。ただ、スコッチのようなピート香も抑えられていますし、何より水で割っても風味が崩れないことが特徴だと思います。
他国と異なり、法律的に熟成期間が定められていないので、熟成させないものでも、ウイスキーとして販売できるのがジャパニーズウイスキーになります。
また、北海道などに自生しているミズナラ材(ジャパニーズオーク)を使用して、寝かせたウイスキーは、他国にはない芳醇な香りやフレーバーを生み出すので、これもジャパニーズの強み・特徴になっています。
スコッチもバーボンも大好きな私ですが、ジャパニーズのフレーバーも大好きです٩( ‘ω’ )و
ジャパニーズウイスキーの蒸留所
日本には、蒸留所が7箇所存在します。だいたいカナダと同じ数ですね。意外と知られていない蒸留所もあるので、少しだけ書いてみます。
1 ニッカウヰスキー余市蒸留所(北海道余市郡余市町):熟成に国産の新樽(ミズナラオーク)を使用
2 ニッカウヰスキー宮城挟蒸留所(宮城県仙台市青葉区):ニッカ第二蒸留所で仕込み水は新川川の伏流水
3 メルシャン軽井沢蒸留所(長野県北佐久郡御代田町):日本でスコットランド産麦芽を最初に使用した蒸留所 ※現在は稼働していない
4 サントリー白州蒸留所(山梨県北斗市):花崗岩層で磨かれた天然の軟水が決めてとなっている
5 キリン富士御殿場蒸留所(静岡県御殿場市):キリンビールとシーグラム社、シーバスブラザーズの三社合併でスタート
6 サントリー山崎蒸留所(大阪府大阪市):日本の本格ウイスキーの第一号蒸留所
7 ベンチャーウイスキー秩父蒸留所(埼玉県秩父市):2004年に設立の蒸留所で、イチローズモルトで有名
以上になります。個人的には、秩父のイチローズモルトにずっと注目しています。違う機会に紹介していきたいと思います。
おわりに
本日は、私がどうしても伝えたいウイスキーの基本的な知識(入門編の知識)などについて書きました。最後まで読んでいただきありがとうございました。